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愛人ジュリエットのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

愛人ジュリエット(1950年製作の映画)
4.2
「天井桟敷の人々」で大好きになったマルセル・カルネ監督。こちらはホラーの香りがするロマンチック・ファンタジー。ストーリーテリングの巧さに溜め息つき、全編、詩的な画と美しい楽曲で夢心地になりました。

牢獄で眠れないミシェルは隣の男から夢の中なら自由になれると言われます。気づくと、記憶を失くした人々の村で、恋人ジュリエットを探していました。人々は過去の記憶がないので、新参者のミシェルの思い出話に群がります。ほしいのは希望ある未来より過去の思い出。人の思い出を借用するのです。

原作が戯曲で、今でもリメイクできそうなドラマチックな物語です。過去の記憶をほしがる人々のユーモア溢れるエピソードに、恋物語、ホラーテイストもあり、黒沢清監督やコクトーのこの世ではない話を彷彿します。前半のロマンチックな雰囲気がめちゃめちゃ好み。後半の想像つかない展開にドキドキしました。

マルセル・カルネの小粋な作品が本当に好き。

主役はジェラール・フィリップ、光の当たり方で雰囲気がまったく変わります。
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