青二歳

日本のいちばん長い日の青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ポツダム宣言の布告から原爆投下ソ連の参戦という数日間のうち、宮城事件の一夜を中心にした群像劇。戦後の観客にとってはポツダム宣言受諾の数日間だが、登場人物たちはそれぞれ別の物語を進んでいる点でまさに群像劇/グランドホテル形式であるのが興味深い。歴史物というのは独立したエピソードが交わることなく進み、史実としてある一点で交わる瞬間の見せ方次第なのかなと思う。グランドホテルものでは分かりやすいけれど、特に同じ時間軸にあるはずなのに交わらないという点が重要な気がする。観客としては、戦後ですからもちろん史実を知っている訳で、決着もだいたいアテはつく。でも劇中では一体誰が全貌を知るのか、知り得るのか分からない。この点が歴史物の面白さかなと改めて感じます。

陛下のお顔を映さず白手袋でそのお姿を映すのは“孤独の人”(日活'57)の皇太子殿下(今上天皇)でも試みられた奥ゆかしい手法。どちらも撮影当時ご存命ですしね。
米内と阿南の二人は好かんが(ファンの人ごめんなさい)、米内がちょっと影薄いよな〜山村聰なのにもったいない。ガナリ芸だと声が本当に潰れてお前誰だよ状態の天本英世もいいが伊藤雄之助もたまらん。あと関口銀三の「何かあったんですか」がいい。そもそも鈴木貫太郎を笠智衆というキャスティングの妙。ところで東宝オールスターどころか各社横断でキャスティングしているのに森繁がいないことに見終わってから気づく。
ラジオから流れる能楽はなんて演目だろう。
青二歳

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