てろおか

日本のいちばん長い日のてろおかのレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)
4.3

2015年原田バージョンと
比較される方もおられますが
思うに この2作は製作における
立ち位置が違うのでそれぞれ別角度で
見てみると楽しいと思います

映画としての完成度は確実に岡本版の方が上です
幾人かの方も言及されている
「汗」描写 陸軍青年将校の狂気を
描く点で 本作は鬼気迫るものがあります
またストーリーラインを宮城事件に
集約することにより話の流れに全く隙がない
宮城事件を全く知らない方にオススメするならば
岡本版を観ていただくべきだと思います

原田版は 原田監督自体が岡本版に
不満をお持ちのため 実はかなり
オリジナリティ溢れています
アプローチが
昭和天皇 阿南惟幾 鈴木貫太郎と
三つ巴になっている上で更に
青年将校を加えているため
初見では話がとっちらかっているように
見えるのも無理はありません

ただその代わり 昭和天皇を1人の
人物として描いていたり
岡本版で畑中氏の母校から批判もあった
激情的な狂気を松坂桃李さんによって
青年的狂気に変更していたり
阿南惟幾を役所広司にしたり(三船敏郎のあなんさんかっちょ良すぎます あなんさん温情統率の陸軍大臣なので役所広司くらいが丁度いいです)
鈴木貫太郎の御家族を描いたりと
人物像に関してはより丁寧な描き方を
しているので 史実ベースな楽しみ方が
出来ると思います

2作とも「宮城事件」を描いたという
ベースはあれど もはや別映画ですので
それぞれの良さを汲み取っていただければなと。
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