桃子

ミイラ再生の桃子のレビュー・感想・評価

ミイラ再生(1932年製作の映画)
3.8
「シワシワ」

てっきりボロボロの包帯を巻いた恐ろしげなミイラが歩き回るやつだと思って見始めたら、そうではなかった。昔見た記憶があるあのミイラ徘徊シーンは、別の映画だったんだなあ。是非とも探してみなくては。
私が大好きな映画に「ハムナプトラ」がある。インホテップを演じていたアーノルド・ヴォスルーとアーデス・ベイを演じていたオデット・フェールに目がハートになった。なんてハマり役なんだろう!!と感動してしまったのだ。この映画が古典ホラー「ミイラ再生」のリメイクだと知って驚いた。いつか元映画を見たいと悶々としていたので、ようやく鑑賞できて大満足である。もっとも、以前に見たことがあったのかもしれない。例によって全く覚えていないので問題なし!(^^)
インホテップを演じているのはボリス・カーロフ。「再生」したあとはアーデス・ベイと名乗っている。包帯はないし、普通に服を着て普通に英語をしゃべっている。現代の英語をどこでどうやって覚えたんだ?とツッコミを入れつつ、ミイラっぽいシワシワのお顏に惚れ惚れした。何時間もかけた特殊メイクだそうである。
「魔人ドラキュラ」のヴァン・ヘルシング教授は、こちらではミュラー博士だった。エドワード・ヴァン・スローンという俳優さんは、いかにも学者然とした容貌で、こういう映画には欠かせない人だったのだろう。ちなみに「フランケンシュタイン」ではウォルドマン博士。出演作品のリストを見ると、見事に「博士」「教授」「判事」「医師」「外交官」等の配役である。「大統領」まであった!
「フランケンシュタイン」を見た時も感じたのだが、モンスターに対して“お気の毒”と思っているような気持ちが伝わってくる。人間が勝手に発掘して封印を解いてしまう。インホテップはただただアンクスナムンに恋をしていて、死んでしまった彼女を蘇らせたかっただけなのに、そうはさせてもらえなくなる。彼にしてみたら、これほど理不尽なことはないだろう。こんなことになるなら、掘り出したり呪文を唱えたりしないで欲しかった、という…
とはいえ、死んだ人を無理やり生き返らせることは道に外れることである。十中八九、死から蘇った人間は人間ではない別のものになってしまう。これがホラーなんだけど(笑)
インホテップが立てかけられた棺の中でしだいに蘇るシーンが圧巻である。素晴らしい演出だ。ゾワ~~~っときた。そしてしつこいようだけれど、シワシワのお顏。このふたつだけでも見た甲斐があった。ただ、ヒロインを演じていたジタ・ヨハンの猫背がすごく気になった。ごめんなさい~~
桃子

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