このレビューはネタバレを含みます
はためく赤黄緑と、弦楽が印象的だった。
揺れる船上で、ブランコに腰かけゆらゆらと婀娜っぽく笑う少女と、寡黙で厳格な老人。
浮世離れした二人の静かな時間は、どこか神秘的な雰囲気もたたえるようだった。
それでも、ラストで露見するエロスには少しの嫌悪感を覚えた。
明らかに性的なメタファーとして突き刺さる矢に破瓜のイメージが見え、老いて咲いた一つの人生の終着が重なる。
矢でなく弓。弦にもなり得るそれは、強さと美しさの象徴。
ゆっくりと沈む船に手を振る少女はもう、処女ではない。