スギノイチ

沖縄やくざ戦争のスギノイチのレビュー・感想・評価

沖縄やくざ戦争(1976年製作の映画)
4.3
”東映実録路線”も実のところ打率はそんなに高くないのだが、これは掛け値なしの出来だと思う。
ほとんど沖縄ロケはしてないらしいが、それを感じさせない暑苦しいエネルギーと疾走感。
とりわけ前半は、これでモノマネされないほうが無理だろと言いたくなる千葉真一のキャラクターで引っ張る。
座った状態から跳躍して斜向かいの成田三樹夫&織本順吉の席前に着地するとか身体能力がおかしい。
中盤、渡瀬恒彦の銃撃で暗殺されてしまうのだが、倒立して死ぬ人間を初めて見た。

中島貞夫は「前半までの映画」と自虐していたが、ジリ貧で死んでいって松方弘樹と渡瀬恒彦だけになる後半も侘びしくて俺は好きだ。
「本土は沖縄を差別するが、その中で那覇は離島モノを差別している」という構図も中島貞夫らしい目線だ。
結局は本土のヤクザに踊らされ、同胞だったはずの千葉真一を暗殺したことを悔やむような松方弘樹のカットが泣かせる。
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