典型的なムードアクションの構図にありながら、随所にふざけているとしか思えない演出が紛れ込む珍品

高橋英樹がやくざの父親（小沢栄太郎）の殺人容疑を晴らすため、証人を探して岐阜へ。途中、好奇心旺盛な小百合、情報屋の小池朝雄の助けを借りて、東野英治郎、菅井一郎、安部徹といった一癖ある人物と駆け引き。音の出ない拳銃の闇取引が絡んでいることが分かるが、小百合は拉致され、英樹はこの件から手を引けと迫られたりする。そして思わぬ事件の真犯人。さらに小百合の正体が…。
本作はカラー、スコープサイズという贅沢なメイン作品。なのに、下呂温泉の水明館は話に絡まないのに画面に登場させる添え物作品臭いタイアップもあるし、タイトルもほとんど白昼で、夜霧なんて出てこない。野呂圭介の女装メイクに悩殺。英樹と小百合が泊まるホテルのフロント係の女の子（星ナオミ）が妙に印象に残ったことも付記しておきたい。

地元に帰ってきた船乗りの高橋英樹がヤクザな父・小沢栄太郎の無実を晴らそうと殺しの真犯人を追うノワール風アクション+地方の現代ヤクザ流れ者的な。で、夜の港をムードたっぷりに映すOPにはちょっと期待させられたが、話は上手くいっていない。ふざけてるとしか思えない野呂圭介の女装と『北海の暴れ竜』を思い起こさせる安部徹の親バカ慟哭&うっかり大爆破には笑いました。