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賄賂のFilmomoのレビュー・感想・評価

賄賂(1949年製作の映画)
4.3
①ロバート・テイラー扮する刑事の心の葛藤が描かれる。彼は横領罪の容疑者ヒンテンの犯罪の証拠をつかむため、中米沖の島で彼を監視する。ヒンテンには美しい妻エヴァ・ガードナーがおり、テイラーは彼女に一目惚れ、接近して情報収集のうちに恋仲になってしまう。一方ヒンテンはただの運び屋で背後にはチャールズ・ロートンとヴィンセント・プライスという悪党が糸を引いている。このロートンが二人を翻弄する。②手堅い演出でストーリーも分かりやすく飽きさせないが、その中でもエヴァ・ガードナーの美しさは際立っている。当時27歳とは思えぬ落ち着きと色気を放ち、酒浸りで隠し事をかかえている夫とテイラーの間で揺れ動く。またチャールズ・ロートンが登場する場面はすべてこの人がさらっていく。ものすごい存在感と圧倒的な演技力でどこか愛嬌のある小悪党をねちっこく演じている。作品題の賄賂とは、ロートンが、刑事であるテイラーの身分を見破り、手を引く代わりに1万ドル払う提案をするところから来ている。つまり賄賂を渡す代わりに犯罪を見逃せというのである。③テイラーは当初はねのける意思を持っているが、ガードナーがどの程度犯罪に関与しているのか見極められない。そのため、夫を逮捕すると共犯として捕えられてしまうのか、それとも無実なのかが分からい上に、深く愛してしまう。さらにそこにロートンがつけ込む、という非常に面白い筋立てになっている。冒頭で強制捜査の指示を出すか出すまいか悩む場面で始まり、その後遡って捜査の命令を受けて島を訪れ、容疑者ヒンテン夫婦に近づく場面へと流れる。終盤に冒頭場面に戻り、大団円へ向かうまでの二転三転する展開が面白く、ラストの花火祭りを舞台にした最後の戦いは映像も凝っていて見ごたえがある。
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