近本光司

鬼婆の近本光司のレビュー・感想・評価

鬼婆(1964年製作の映画)
4.0
肉欲に駆られた若い女が、日が落ちたあとの背丈ほどの高さがある茂みを駆けてゆく。あの表情。あの足取り。未成熟な若さを凝縮したような姿に、うつくしき照明が当てられた様子に、わたしは魅了されっぱなし。吉村実子、おそるべし。都随一の美男として知られた武士のつける般若のお面はなかなか外れない。嫉妬に狂った姑の顔にも固着してしまった。そのおそろしさに寒気が走る。しかし殿山泰司はいつもの感じだけど、この映画は佐藤慶がいいですねえ。大島渚の映画の厳粛な役どころばかり見ていたから、あんな役柄もできちゃうんだとびっくり。俳優のすごさを感じます。