ペコリンゴ

フィメール・トラブルのペコリンゴのレビュー・感想・評価

フィメール・トラブル(1974年製作の映画)
3.5
記録。
トラブルまみれの美しさ。

恐らく世界で一番下品な映画、『ピンク・フラミンゴ』の次にジョン・ウォーターズとディヴァインのタッグが世に送り出したのがこの映画。

ディヴァイン扮するドーン・ダベンポートのハイスクール時代から、望まぬ妊娠・出産を経て、波乱の人生を歩む様子が描かれる。1人の女性の生涯を追ったといえば聞こえは良いが、まぁこれもどーかしてる映画ではある(褒め言葉)。

冒頭で聞くことのできるテーマソングが意外と良曲。ウォーターズが歌詞を書き、ディヴァインが歌うこの曲が耳から離れないのは困りもの。割と本気でiTunesで配信して欲しい。

内容は全編通してディヴァインの独壇場。
『ピンク・フラミンゴ』程の強烈なビジュアルの披露は無いし、犬のウ●コを食うこともないが、こんなイカれた女を演じられるのは男女問わず他には居ないだろう。ちなみに、望まぬ妊娠の原因を作る強姦魔を演じたのもまたディヴァイン。前代未聞の一人レイプには悪趣味を通り越して苦笑い。

ドーンも大概だが、何故か美容師のイケメン息子をゲイにしたがる老母に、泥棒を生業とするドーンの犯行写真を取りたがる美容師夫妻と、基本的にマトモな人間は出てこない。

…もう尖り過ぎてて笑えねぇ…(笑)

まぁ、一言で言えば転落人生。
だけど、メチャクチャに生きて来た割になんの悔いも感じさせないラストは壮絶かつ壮観。そして流れるあのテーマソング。ゆったりしたテンポと口ずさみたくなるメロディは一級のデザートだ。

毒々しく鋭角的なカルト黒コメディ。
勿論人にはオススメしない類の作品です。