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フィメール・トラブルのxoのレビュー・感想・評価

フィメール・トラブル(1974年製作の映画)
3.5
ジョン・ウォーターズは無茶苦茶なことをやりながらも倫理観がちゃんとあって、差別的だったり他者を攻撃するような表現だったりには絶対にいかないから信用できる。優しい人なんだと思う。

本作は悪趣味なのは相変わらずとして、他作よりも笑いの質がブラック。
レイプからの妊娠と出産、家族の不和、隣人トラブル、肉親の殺害、精神障害、無差別殺人、宗教への盲信/狂信的傾倒。そして女性の美醜にまつわる問題。
主人公ディヴァインがどんな悲劇的な目に遭おうが、自らの利益のため、煽て囃し立てカメラを回し続ける連中。「食人族」も想起する暴力的・搾取的な構図。。

と書きつつも全体のトーンは不真面目なコメディでしかなく、いたって楽しい。だけど終盤の展開と終わり方には、他作とは違うビターな余韻だったり悲しさだったりがある。

もっとも印象的なのは、鏡を見て変わり果てた姿にショックを受けるディヴァインの「ハッ…」からの「わたし可愛い…?」のところ。一瞬ではあるものの、すごく切ないシーン。。
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