イチロヲ

フィメール・トラブルのイチロヲのレビュー・感想・評価

フィメール・トラブル(1974年製作の映画)
4.0
粗野な労働者の赤子を産み落とした肥満体の家出娘(ディヴァイン)が、人生の虚無に苛まれると同時に、秘められていた暴走癖の表出を体験していく。マンソン家の中心人物テックスとの交流をきっかけにして製作された、サスペンス・コメディ。

本作では、ディヴァインを妊娠させる労働者の役柄を、ディヴァイン本人が一人二役で演じている。ドラァグ・クイーンの役者としての幅の広さ、ひいては彼のプライベートまで干渉していくパラノイアを感じ取ることができる。

主人公が出産した娘は、予想通り社会不適応者へと成長。常連女優ミンクがキチガイ演技を披露しており、ディヴァインと対決していくところが面白い。「短所を長所にせよ!」の精神により、自尊心がオーバーヒートしてしまう感覚もまた胸に迫るものがある。

ジョン・ウォーターズ自身はヒッピーではなかったようだが、登場人物のファッションや室内装飾には、原色のヒッピー様式が反映されている。各カットの絵作りが無駄にオシャレであり、何気ない小道具・日用品にも関心が高まる。
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