ハマジン

モデル連続殺人!のハマジンのレビュー・感想・評価

モデル連続殺人!(1963年製作の映画)
3.5
マリオ・バーヴァ映画の背後につねに横たわる「死の舞踏(La Danza Macabra)」の世界観。事件の真相/犯人のことなぞもはやどうでもよく(後半2/3あたりであっさり明らかにされる)、殺す者、殺される者どちらも等しく「死」に踊らされ振り回されるそのさまを、そしてその結果次々と無慈悲に積み上げられてゆく死体の数々を、鮮やかな光と影と色彩によって、美しく、残酷に、文字通り「彩る」ことこそが、映画作家バーヴァの至高の表現。
しのつく雨の中を速足で歩く、女のまとうレインコートのつややかな赤。これから殺人鬼の手にかかるであろうその首筋を照らす懐中電灯の明かり。甲冑の手甲の突起部分で顔を潰された女の邸を、緑色に浮かび上がらせつつふたたび闇に沈める、鼓動さながら明滅する屋外看板の照明。身に覚えのない他殺体が、車のトランクから唐突に転がり出る不条理。死体に絡みつく死体のおぞましい姿態を、ショッキングに、かつなまめかしく映し出すガラステーブルの反映=鏡。画面の隅々にまでみなぎる「美」にひたすら酔いしれる87分。
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