このレビューはネタバレを含みます
自宅で。
1999年のアメリカの作品。
監督は「ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!」のディーン・パリソット。
あらすじ
宇宙探査局の活躍を描いた伝説的SFテレビシリーズの「ギャラクシー・クエスト」、未だに人気は衰えずファンダムのイベントが行われるコンベンション会場は盛況な賑わいを見せる中、それ以降あまりパッとしないキャスト陣はファンへのサイン会やイベントを糧に俳優人生を送っていた。そんなある日、イベント会場にグレーのボディスーツを着たファンに「助けて欲しい」と言われたタガート船長役のジェイソン(ティム・アレン「トイ・ストーリー4」)は出演依頼と勘違いして現地に向かうが、そこは本物の宇宙空間で、彼らは実は悪者の宇宙人サリスとの戦争を打開するために地球にやってきた本物の宇宙人サーミアンだった!
U-NEXTにて、久しぶりに観たくなって。
故アラン・リックマン(「アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅」)の演じたキャラクターといえば、やはり1番有名なのは「ハリー・ポッター」シリーズのスネイプ先生だと思うが、印象的な役柄で言えば本作で演じたドクター・ラズラスを挙げる人も多いだろう。
それくらい映画ファンには隠れた名作である今作「ギャラクシー・クエスト」。改めて見直したけど、やっぱおもしれー!!
お話は「凡人がヒーローに間違えられて、さぁ大変!!」的な「サボテン・ブラザーズ」とかそういう系。ただ、設定が「SF」なので「コメディ」との親和性も意外なほど高く、独特なレトロな笑いを醸し出している。
また、特に「スタートレック」のオマージュが数多く取り入れられており、ファンの在り方やイベントの感じ、それとなんといってもキャストが演じている劇中のキャラクターに反映されているのが面白い。
特にそれが顕著に現れているのが、はい来ました!アラン・リックマン演じるドクター・ラザラスです!スタートレックのスポックよろしく、尖った耳の代わりにトカゲ頭が特徴的なキャラクターなんだけど、「トカゲ・ヘッドにかけて…(吹き替え版では原語版の意味そのままに「グラブザーのハンマーにかけて…」という決め台詞を演じるデーンはめちゃくちゃ嫌がっているという設定。でも、宇宙での冒険を通して、父のように慕うサーミアンの1人、クエレック(パトリック・ブリーン「アフター・ルイ」)の犠牲によって、その死に際「トカゲ・ヘッドにかけて…」、そして「父の名にかけて」反旗の狼煙を揚げるシーンは今作の名シーンの一つ。
他にもマディソン少佐(シガニー・ウィーバー「マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)」)の指令を繰り返す職業病ギャグとか、操縦士のトニー(ダリル・ミッチェル「カントリー・ベアーズ」)が宇宙船の初めての操縦で大々的に壁に擦ってしまったり、まだ若いサム・ロックウェル(「トロールズ ミュージック★パワー」)演じるガイが劇中では端役だったのに、何故かついてきて、そこで活躍…するのかと思いきや、全然役に立たないままなどキャラクターの一人一人が個性的なんだけど、それとは別にちゃんと冒険を通して「成長」させる流れが秀逸(ただし、ガイに関しては「使えない」というのが最大の利点なので別だが)。
あと序盤の「伏線」がちゃんと後半に丁寧に回収されており、例えば、まだ若いジャスティン・ロング(「ウェディング・ゲスト」)らが演じるオタク勢がファンダムではジェイソンに邪険に扱われてたのが、その知識が後半の宇宙船の深部に行くためのナビゲーターとして活躍したり、映画内における記号的な事物だと思われていた「オメガ13」がちゃんと終盤のゲームオーバー回避に役立っていたり(それにしてはもうちょい機能しても良かったような気がするが…)。
そんな、キャラ同士のアンサンブルと丁寧な伏線回収がありながら、ここが一番大切な部分だと思うんだけど、ちゃんと楽しくて、グッときてそれでいて「見やすい」ってところ。だからこそ、未だにSFファンだけでなく、映画好きに広く愛されているんだろうなぁ。
また、機会があれば見直したくなる、SFジャンルの隠れた傑作です!
トカゲヘッドにかけて…!!