あーさん

幸福(しあわせ)のあーさんのネタバレレビュー・内容・結末

幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

昨年観たもの。

私が映画を観る理由は沢山あるのだけれど、その一つに、'"幸せ"の定義が知りたい'というのがある。
幸せの感じ方って、人によって、年齢、性別、住んでいる国や環境によってきっと違うんだと思う。
より深く人生を捉えることができたら、本当の幸せに近づけるのではないかな?と思いながら、色んな作品を観ているのだが。。

何だこれ⁈

タイトルやパッケージから連想される明るいハッピーな内容とは違って、中々に衝撃的な結末の作品だった。

今作の主人公フランソワ(ジャン=クロード・ドルオ)にとっての幸せは、あくまでも自分だけの幸せだったのか。

何とも言えない苦い後味が残る。

ざっくり言ってしまえば、幼く可愛い子どももいて仲の良い夫婦の夫が郵便局で知り合った若い女と不倫、"自分は愛する人が二人もいて、とても幸せだよ♪"と妻に訳のわからないことをカミングアウト、無理くりわかってもらおうとする話なのだけれど、、

何かね、皆が少しずつ変。。
色々濃い(笑)夫 フランソワが超絶変なのは分かり切ってるけど、妻のテレーズ(クレール・ドルオ)が夫の無茶を理解しようとするのも変じゃない?
正直に言ったからと言って、妻が我慢するようなことじゃないよね??
それともこれが究極の愛?
何で受け入れるかなぁ。。
不倫相手のエミリー(マリー=フランス・ボワイエ)が控えめなようでいかにもなフォーリンラブ感を出しながらフランソワを取り込んでいくのだけれど、いやナチュラル過ぎて恐ろしい!
彼女も"あなたが幸せなら、私はそれでいい"と言う。。

夫の為に妻が身を引くのは、実は夫の本望ではないと思うし、悲しみが故にしても当てつけにしても夫には全くダメージはなく、、報われない。

ラストシーンのシュールさ。
(子どもたち⁈)

これを作ったのが、"ロシュフォールの恋人たち"で有名なジャック・ドゥミ監督の奥様、アニエス・ヴァルダ。
途中のフランソワの堅実な建具屋の仕事ぶりや、仕立て屋のテレーズがウェディングドレスを作ったりするシーン、子ども達との微笑ましいやり取り…がとても美しいだけに、余りにもラストで突き落とされる、というか、残酷な仕打ちというか。。

でも、究極の所、ヴァルダ監督が伝えたいのは誰が正しいか正しくないかではなく、人間って本来利己的なものであり、生きるってそういうことなんだよ、なのかも。
誰かの不幸せの上に、今の自分の幸せが成り立っているのかもしれないし。。

コインの裏と表のように、同じ出来事が悲劇になったり喜劇になったりする。

物事をどこから見るか?

そんなテーマの作品が多いと感じる今日この頃だが、思いきりビターなお話が観たい方にはオススメ!
ただし、救いはないです💦(多分…)


いやーしかし、私はこの中の誰にもなりたくないし、きっとなれないな。。
あーさん

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