紫のみなと

幸福(しあわせ)の紫のみなとのレビュー・感想・評価

幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)
4.0
初めて観たアニエス・ヴァルダ監督作は「カンフー・マスター」で歳は17.8の頃。
中年になった今、映画との付き合いを思い起こしたとき、自分が実に、最も、切実に映画を必要としていたのが17.8歳の頃だったなと思う。
とにかく「カンフー・マスター」はJ・バーキンが好きだっただけに毎日観ていました。

本作に関しては、もう少し歳をとってから(22.3歳くらい)観た記憶がありますが、なにせ怖くてもう二度と観なくていいやと思った。

ほんとうに久しぶりに見返してみると、やはり怖い映画でしたが、やっぱりヴァルダ監督が個人的に好きだなと感じました。

家族4人の幸福そうな後ろ姿、映画の初めと終わりで、ママの首から上が変わっただけで、あとは全く同じに見える恐ろしさ。
生きて行くってこんなもんなのかなと思ってしまう。

むせかえる花々や鮮やかなワンピースのむせかえるような色、色、色、そして音楽の洪水にまみれながら、むせ返りながら私はこの映画を好んでいると気付きました。


(夫役にはなんといっても嫌悪感しかなく、自分なら夫の告白を聞いた瞬間夫を湖に突き落とし、貴方には一生会いませんと啖呵切って子供たちを連れ去る、そして毎日ウエディングドレスでもなんでも夜なべで作ってでも、一人で子供たちを育てていくだろうと思いましたが)