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幸福(しあわせ)のharuのネタバレレビュー・内容・結末

幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ほのぼのした「幸せな家族」を描いたホラー映画。

フランソワは美しくオシャレで優しい妻テレーズと二人の子供がいて幸せな生活を送っていた。ところがこれまた美しいエミリーという愛人を作り、それを妻に告白。その直後、妻は遺体で発見される。幸せとはなんぞや?

こりゃ女性が激怒しそうな映画です。フランソワは何の不満もない絵に描いたような幸せな生活を送っているにもかかわらず、愛人を作る。そして真剣に「二人とも愛してる」とおっしゃる。それがあまりにも当たり前のように言うもんだから、男性は同時に複数の女性を愛せる生き物なんだなとあやうく洗脳されちゃうとこでした。
私が思うに、フランソワが何と言おうと彼にとってエミリーはただの愛人なんですよ。だってエミリーのどこが好き?って床上手なとこって言っちゃってるから。それって愛人以外の何者でもねぇじゃん!と思うわけです。ちなみにエミリーはフランソワとたまに会えればそれで良いそうで(ダメンズの典型)よくできた愛人。だから黙って浮気してろって話。「ボク、嘘つけないから」って何度も開き直るフランソワ、まじ埋めたい。そして「正直者」のフランソワは妻にエミリーのことを告白。妻はまったく取り乱したりせず、冷静に対応したのがいけなかったのか、フランソワは妻が愛人の存在を認めてくれたと有頂天。ここまでくるとなんだか自分が間違っている気がしてきて(フランスではこれ普通なのかとか)よくわかんなくなってきたところで、妻自殺。つまり妻が強烈な復讐を遂げた…ということらしいのですが、真相が何であれフランソワは妻の死を事故として認識。つまり妻の死と自分の浮気は彼の中では別物。もし自殺だったら全然救われない…何も伝わってないぃー!
この映画がホラーと言われる所以はラストシーンにある。幸せそうなフランソワ一家が森で遊んでいる。パパとママと子供たち。ただしママがエミリーになっている。二人はあのあと再婚した。エミリーはかつてのテレーズのように妻として母としてこの一家にすっかり馴染んでいる。まるで昔からいたように。
よく自分の代わりなんかいくらでもいるっていうけど、それは職場とか他人同士のコミュニティに限った話だと思ってた。でも家族でさえも代わりはいくらでもいて、本当に幸せになれるのかもって思ったら、すごく怖い映画だなと思いました。
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