七沖

UDONの七沖のレビュー・感想・評価

UDON(2006年製作の映画)
4.5
“観ないと、マズイ!”
ダジャレか!でも、このキャッチコピー通りの内容。これ、観といた方がいい映画でした。

故郷の香川を飛び出してNYで漫才師を目指す香助だったが、夢破れて帰国する。偶然香川の山中で出会った小説家志望の恭子を巻き込み、地元のうどん店を特集するタウン誌を企画して順風満帆に見えたが、一度火が点いたブームにはいつか終わりが訪れるもので…というストーリー。

「ここには夢なんかない。ただうどんがあるだけや」
ちょうど香川のうどん巡りに興味があったタイミングで観たということもあり、実在する店舗がたくさん出てくるのにテンションが上がった。地元のうどん店、この映画に協力しすぎだろう…と思ったが、なんと監督の本広克行さんが香川の丸亀出身らしい!なるほど納得の全面協力具合だ。
お店の人がみんないい人なのだが、あれは俳優ではなく本当の店員さんな気がする。なんだか田舎の優しさに触れられたような気がしてホッコリした。
そしてもちろん、どのうどんも本当に美味しそうだった。意外と食べ方が多彩で、トッピングも含めるとかなりのバリエーションを楽しめる。

劇中何度も登場する飯野山が美しい…。あまりに綺麗な形の山で、讃岐富士と呼ばれているらしい。

この映画、あまりタイトルを耳にすることもないし最初は讃岐うどんについて少し知れればいいかなくらいの軽い気持ちで観ていたのだが、だんだん惹き込まれてしまい、気づいたらちょっと感動してしまった…。
主人公の再起のドラマであると同時に、巻き起こるブームの熱気だけでなく、影の部分も描いているのが印象的。
「けど、終わらん祭りはないから」

冒頭のBGMのカルメンの使い方も小気味いい。
この映画、かなり完成度高いのでは…?
なにげにカメオ含めた出演俳優陣がかなり豪華。途中、ブレードランナーのパロディがあって吹いた笑

時々長いシーンがあって、それが2時間越えの上映時間の原因になっている気がするが、それでもこのストーリーは普通に良かった。シンプルなストーリーで、時々「今のはそれがやりたかっただけだろ!」というシーンもあるが、みな楽しそうだ。
ちゃんとキャラ設定や他愛のないおふざけが後で薬味のように利いてくるのが素晴らしい。
もちろん、讃岐うどんについての理解も深められる。香川に行く前にはぜったい観た方がいい映画だ。
うどんYeah!!
七沖

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