三隅炎雄

新男の紋章 若親分誕生の三隅炎雄のレビュー・感想・評価

新男の紋章 若親分誕生(1967年製作の映画)
3.6
話自体は『男の紋章』シリーズと繋がりはなく、定型通りでこれといった目新しさもない。井田演出はドライでスピーディ、任侠ものの泣き・情緒には興味なさげにチャッチャと事務的にこなす。
ありきたりのようで何処か妙なのが井田の持ち味で、ここでも主人公の高橋とヤクザの親分石山健二郎がペッタンペッタン餅をついてるうちに心を通わせる、あるいは高橋が殴り込む悪党やくざの日本家屋に場違いにポンとひとつだけ大理石のでかい柱が突っ立っているという風に、真面目と不真面目の間の微妙なセンを狙って演出を仕掛けてくる。そこに隠し味的なそこはかとない可笑しみがある。
弟分志願の田中邦衛が途中で消えたり、珍妙な殺し屋名古屋章との対決が中途半端だったりと、作品的に未消化で終わるのは続編への持ち越しを考えての処理だったのだろう。が結局続編は作られず、監督を変え、主人公名村瀬政吉だけが同じ別の話『関東も広うござんす』『関東刑務所帰り』が作られることになる。
三隅炎雄

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