とり

ルパン三世 ルパンVS複製人間のとりのレビュー・感想・評価

5.0
ルパンシリーズで一番好きな作品。何度繰り返し観たことか。
多分多くの人が「カリオストロの城」を支持するでしょう。
でも私は、断然クローン。
作画も好きだし、適度なコミカル感もいい。
ルパンがマモーの超能力をインチキ呼ばわりで対峙するリアリストとして描かれている点もポイント。夢を見ないことの裏付けですね。
そして何より不二子ちゃんがヒロインなのが一番いいところです。悪女っぷり超全開。
ピンク色のハーレーも似合っててかっこいい。
ルパンとの大人のロマンスが盛り込まれてるのが作風に大きく貢献していて、実にクラシカル。戦後のハリウッドSFや怪奇ものの影響が感じられます。アメリカという国の描き方もリアル。

作品全体に漂う哀しい雰囲気も素晴らしいです。背徳的で様式美に近い感覚。
随所に軽快なギャグを織り交ぜながらも、どことなく哀しい。
オープニングの遺伝子操作をするシーンが、この上なく怪しくて、わくわくします。
マモーは憎めない悪役って感じです。ちょっとかわいそうなのと、なんかかわいいのね~。声をあてた西村晃の存在感。唯一無二。

次元と五ェ門、銭形の見せ場もかっこよくバランスいいです。それぞれの関係性の表現もうまい。
特に次元の「行くなルパン!」の一連のシーン!ああいった演出ができるアニメ、邦画も含めてなかなかないレベルじゃないでしょうか。構図、間の取り方、セリフ全てが完璧。
衝撃的な幕開け(十三階段の演出が素晴らしい!)、切られた時の画面分割、レーザー対峙、終盤の脱出などアニメならではの緊迫と迫力、スピード感をそなえつつ、アニメの枠を超えた演出の数々。
アニメだけじゃなく映画、書物などあらゆる物を見て聞いて影響を受けてるのが感じられます。

ちょっぴり物悲しい怪奇映画を見終わったような静かな余韻。
からのお色気ドタバタからのルパン音頭。このセンス天才すぎるでしょ⋯。
とり

とり