三隅炎雄

夜の歌謡シリーズ 女のみちの三隅炎雄のレビュー・感想・評価

4.5
元のぴんからトリオの曲自体がくさいくさい殆どパロディみたいなものだから、夜の男と女の世界でもこれまでのシリーズのような単純な表現になっていない。
男に寄生され搾取されて生きる女たちに心を寄せるでもなく、苦界をものともせず生きる女たちのふてぶてしさを(男の都合の良いように)歌い上げるでもなく、かといってスケコマシたちのピカレスクな世界が暗い情念で描かれるでもない。夜の世界に蠢く魑魅魍魎たちの生態を、喜劇と悲劇がないまぜのドギツく錯乱した語りで描きつくして、大衆娯楽の混沌猥雑極まり、これは山口和彦の奇々怪々な傑作である。成沢昌茂の脚本はきちんと今様西鶴として書かれている。
最後のチカチカ点滅する梅宮辰夫が凄い。何だあれは。歌にコントに大活躍のぴんからトリオがとても楽しい。
三隅炎雄

三隅炎雄