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死者との結婚のodyssのレビュー・感想・評価

死者との結婚(1960年製作の映画)
3.5
【異文化融合】

むかし、多分25年くらい前にどこかの名画座で見たきりですが、記憶でレビューを書きます。

妊娠しながら男に捨てられたヒロイン(小山明子)が自殺する覚悟で乗った汽船。
船内で、同年配の新婚夫婦と知り合う。
ふたりはアメリカで知り合って結婚し、新郎の故郷の四国に住む両親のもとに報告を兼ねて行く途中。
ふたりは元気のないヒロインを励まします。
若夫人がしていた結婚指輪が素敵だというので、ヒロインがちょっとだけ借りたときに・・・

以後はネタばれになるので省きますが、原作はアイリッシュのミステリーだとのこと。
たしかに、アメリカのミステリーらしい奇抜な設定の物語です。

それを日本に持ってきているところが、なかなか。
しかしこの時代(1960年だから昭和35年。まだ東京オリンピックの前)のアメリカと日本では生活習慣などがまるで違うわけで、その辺をいかに日本化するか、或いは敢えてアメリカ風を維持して「異文化ゆえの魅力」を出していくかが、見どころでしょう。

一つだけ、無理目だなと思ったのは、ヒロインがお金を必要とするようになって、口実をもうけて小切手帳を使わせてもらうようになる、という進行。
この時代(あるいは今でも)、日本ではアメリカと違って小切手はあまり一般人には使われていなかったはず。
それも会社同士の決済ならいざ知らず、いくら裕福とはいえ田舎の家庭で小切手帳ってないんじゃないか、と思いました。むしろ、それなりの金額が入った預金通帳をヒロインの名義にしてもらって、というほうが自然。

異文化融合は難しい・・・という一例でしょうか。
あと、ヒロインを演じる小山明子は美しいので、オレなら捨てないな、と思いました(笑)。
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