よしまる

ボルサリーノ2のよしまるのレビュー・感想・評価

ボルサリーノ2(1974年製作の映画)
3.0
 「1作目を再鑑賞してから見逃していた2作目を初鑑賞チャレンジ」でござる。

 さてさて、1回目のお題「ボルサリーノ」の続編、「ボルサリーノ2」。
 原題は「Borsalino & Co.」つまり「ボルサリーノ社」これはどういう意味だろう。前作でマルセイユ最大となった「ボルサリーノ」という組織の行く末を描いた、ということか?

 タイトルバックは前回の直後、そして物語はその3ヶ月後からスタートする。この前作とシームレスに繋がるというのは、DVDなんかで続けて観るとありがたみもあったもんじゃないのだけれど、実際に3年のインターバルを過ごした者にとってはこのうえないご褒美に感じられたはず。

 ボクも「バックトゥザフューチャー2」や「スターウォーズ6」の時は本当に待ち遠しく、観る前夜は眠れないくらい興奮した。
 いろんなパート2の始め方がある中で、やはりこのパターンが一番グッとくるものがある。特に悲しいラストの続きだと尚更だ。
 軽快なテーマソングも、シャンソン歌手にしみじみ歌われると泣けてくる。

 カペラを襲った悲劇、その首謀者はドロン演じるシフレディが牛耳るマルセイユを奪い取ろうとするヴォルポーネ兄弟。新たな敵との弔い合戦が始まり、時代の波が揺さぶりをかけてくる。シフレディとかつての仲間たち、そして恋人ローラの運命は?というお話。
 あらすじを書いてみるだけでも、前作と打って変わったシリアスな展開を想像されることと思う。

 今回はアランドロンがより製作に腰を入れたそうで、徹頭徹尾、彼が出ずっぱりのドロンによるドロンのための映画だったが、それはつまりベルモンドの不在を強調するものとなっていて、かの小洒落たテーマソングもどこか重々しい響きで奏でられている。

 実際シフレディはカペラのような立ち回りはできず、見境の無い復讐劇に終始、ドロンの美貌や悲壮感に惹かれないとすると、内容の薄い派手なアクション映画、以上のみどころはほとんど無い。逆にそれが好きなら充分楽しめる。

 強いていうのなら、波に揉まれながらも美しく成長していくローラと、ボルサリーノの旗のもとにボスに忠実な子分たちギャングの活躍ぶりが印象に残る程度で、やはり前作のベルモンド&ドロンの起こす化学反応がいかに素晴らしかったかを確認するための映画になってしまった。

 運に見せかけて常に最善策を考えて実行してきたカペラと、行き当たりばったりでお世辞にもクレバーとは言い難いシフレディそれぞれの最後が対照的なのも、うーむという感じ。

 ボクにとってピカレスクとは、いくら二枚目でカッコよくても、ロマンが感じられないと響かないのかもしれない。