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HEROのmatchypotterのレビュー・感想・評価

HERO(2002年製作の映画)
3.6
実はこれ、結構すごい映画。

監督は中国、香港映画の雄、チャンイーモウ。
主演はジェットリー。

秦の大王がついに中華を治めんとする時代。いわば『キングダム』の終盤みたいな背景。
こうやって色んな映像コンテンツで少しずつ日本や世界の歴史に触れて繋がってく感覚がたまらない。

秦国の大王の身と国の存亡すら危うくさせる3人の大刺客がいる。
その3人を討ち取った者には多大なる褒賞と大王への謁見、接近が認められる。

それを見事に果たしたとする男、小さな県の役人、それがジェットリー。
大王は褒章を与えつつ、謁見させながらその討伐の顛末、武勇伝を彼から聞き始める。

10年で独自の技を身につけたとはいえ、その男がなぜ刺客の頂点にいる3人を討ち取れたのか。
その討伐の模様と、真相を彼から語られながら回想が始まり、色々と事の顛末の真相が姿を表していく、、、。

この刺客。トニーレオンとドニーイェンではないか。
前に観たことあったがその時はそんなに見識がなかったのだが、色々知って観ると景色が違って見える。
これはアツい。この顔ぶれはシンプルにアガる。

この2人とジェットリー。
何ならもう1人の刺客はマギーチャンだし、チャンツィイーと綺麗どころのビッグネームも揃い踏み。
これは、これは、なかなか1人1人に見応えがあるというか、見どころが多いというか。

ドニーイェンの槍捌き、演じるとかではなく、もう本物の達人の領域で間違いなし。

いわゆる“ならでは”のワイヤーアクション。
緑豊かな自然と、流れる水や音楽に囲まれ、鮮やかな色彩、動と静の調和を体現しながら。
可憐な舞のごとく武具を重ね合う身をこなし。

“格闘”という意味でのアクションではなく、“表現”“伝導”“流れ”みたいな意味に近いアクションがとても印象的。

そして、このエキストラの数。人にしろ、弓にしろ、建造物にしろ。
どこかからはCGで見せているのだろうが、かなりのスケールを確実に“生”でやってる。
逆に、ここまでやらなくても良いんじゃないかと思うほど。この迫力はスゴい。
CGでは感じられない息遣いの多さを実感できる。

それがあるから、1対1の対話や決闘のシーンがとても孤高でありながら、崇高な雰囲気を醸し出し個人同士の対話のように思えてくる。

水の上をピョーンピョーンと飛び回ったり、どこか非現実的なアクションではあるが、初めてそれが意図するところを感じれたような気が、、、しないでもない。

話が進むにつれて、ただ単に「やったぜ、名だたる刺客3人全員討ち取ったぜ、すげぇだろ、褒美くれ」の話ではない様相を見せてくる。

派手で爽快で豪快で勧善懲悪のアクション映画というより、哀愁漂う切なさ伴う復讐と悟りの境地のぶつかり合いの人間ドラマも描き、そこに根付く武術の精神的な面も感じさせられる。

評点低いのは、この見た目に対して上がり切らないテンションとかが影響してそうな気がするが、見どころは多いのでもっと評価高くても良いと思うけどなぁ。


F:1959
M:4856
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