gengeng

HEROのgengengのレビュー・感想・評価

HERO(2002年製作の映画)
4.0
初めて観たのは小学生の時で、この映画には結構影響を受けてた気がする。たしか卒業アルバムにも無名、長空、残剣、飛雪の名前を書いたな〜。小説から読み始めて映画観たのか、その逆だったのかは覚えていないが、当時はそのくらいハマっていた。

『グレート・ウォール』で張芸謀節を久しぶりに目の当たりにし急に見返したくなった。当時はやり過ぎくらいのワイヤーアクションが大好きだったが、今観るとアクションもさることながら、色彩の美しさが半端じゃねー!

衣装や背景美術、カラコレまで一貫したアートディレクション。この辺りは『グレート・ウォール』でも観ることができるが、今作のそれは一段とレベルが高い。単純に各キャラクターの持ち色という使われ方なら誰もが考えられるが、無名が秦王にたどり着くまでの練りに練られたストーリーをエピソードごとに色を振り分けているのが面白い。

各エピソード、一色のテーマカラーが当てられていて、実写なのに非現実的な彩度でマジ、ファンタジック。さらに面白いのが、二転三転する脚本でるがゆえ何度か同じようなシーンが出てくるのだが、同じシーンでも毎回色が違う。本当の色はどれなんだ?と脳が置いてきぼりになる気持ちいい感覚。

衣装デザインはワダ・エミという人で、張芸謀の映画には他でも関わっているっぽい。色についてのこだわりがあって、例えば赤は赤でも朱色っぽいものだったりピンクっぽいものだったりあって、その赤の中の赤をとことん模索したらしい。素材によっても見え方や感じ方が変わるっていうエピソードもなるほどだった。

アクションに関しては、この映画が自分のベースになってるので合ってるとか合ってないとかいうレイヤーの話ではないのである。俺なのである。『パシフィック・リム』の「ニュートンのゆりかご」シーン的な、ハートがくすぐられる俯瞰と注視のリズム。子供の頃にやったごっこ遊び、脳内ではこの映画のような補完をしていたはず。そのくらいTHE男の子って感じの映画。
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