Jun

櫻の園のJunのレビュー・感想・評価

櫻の園(1990年製作の映画)
4.6
奇を衒った演出をするでもなく、女子高生たちの瑞々しい青春の一ページを直截簡明に描いてみせた珠玉の名作。
里美先生を想い香織が泣きながら皆に今という一時の大切さを説く場面や、公演が中止になりそうだと知りながらも知世子が後輩たちから激励の言葉を受ける場面など印象的なシーンは枚挙に暇がないが、今まさに劇の幕が開いた直後のスタッフロールと共に映し出される誰もいない部室の光景は一際強く記憶に残っている。風に吹かれ、開いた窓から絶え間なく室内に入る桜の花弁の美しさは筆舌に尽くし難い。リアルタイムに近い時間の流れで物語が展開されるにもかかわらず、時刻を示す時計が排された画面設計はジュヴナイルな永遠性を担っているのかもしれない。
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