ドナウ

コブラ・ヴェルデのドナウのネタバレレビュー・内容・結末

コブラ・ヴェルデ(1988年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ヘルツォーク✕キンスキーを見ていると、どうやってこいつを痛めつけてやろうか…という監督の思惑が感じられて「キンスキー、我が最愛の敵」も見てみたくなった。この人は動物を際どく使っていて中でも驚いたのが、犬を奴隷として配置(多分…)しつつ松葉杖や文字通り四本脚の奇形の奴隷が登場したところ。こういうところがニワトリ宜しく悪趣味だなと思いつつ好きなのだから仕方がない。今作然りアギーレ然り奴隷に比重が大きく個人的ドイツ=戦争の図式から逸脱していて、奴隷への嫌悪と人間への疑念や大きな何かへの抗いと破滅を感じた。白人と有色人種の確執を象徴するようにアフリカの砦を白く塗り潰し、奴隷は肉体、精神のみならず文化までも破壊する。狂気と力の塊のキンスキーがなす術もなく海に遊ばれるラストは虚しさを…いや、笑える。ヘルツォークはこうした滑稽さというかなんというか…兎に角どうにも笑ってしまう場面が多々ある。

“奴隷たちは主人を売り払い翼を手に入れた”
そして言葉と歌を取り戻した。
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