Maoryu002

黒蘭の女のMaoryu002のレビュー・感想・評価

黒蘭の女(1938年製作の映画)
3.6
1852年のニューオーリンズ。ジュリー(ベティ・デイヴィス)は我儘と無作法によって、婚約者プレストン(ヘンリー・フォンダ)に捨てられてしまう。1年後、黄熱病が蔓延する中、妻を連れて戻ってきたプレストンに嫉妬したジュリーの行動によって事件が起きる。

ウィリアム・ワイラー監督による重厚な人間ドラマ。
何かと「風と共に去りぬ」と比較されて、スケールの大きさでは完全に負けてるんだけど、主人公ジュリーのインパクトはスカーレット・オハラに引けを取らない。

彼女を最も良く知る叔母が “卑しい彼女が好き、いちばん美しく見えるから” と評しつつ、毒婦イゼベルに例えるように、天使と悪魔が同居する、人間の複雑さを象徴するようなキャラクターだ。

それを演じるベティ・デイヴィスの演技がこの作品の最大の見どころだろう。
嫌な女を演じさせたら右に出る役者はいないなと改めて感じさせるし、必死に涙を堪えながら歌ったり、死の島へ向かう決意を語る表情は超絶だ。
「痴人の愛」のミルドレットも凄かったけど、このジュリーも相当なインパクトだった。

ジュリーは最後には自分の行動の愚かさに気付くんだけど、同時にせっかくの個性も捨ててしまっているように見えた。

黒人奴隷に決闘、根拠のない病人隔離と、許されざる悪習のオンパレードなのもこの作品の特色だけど、一番気になったのはヘンリー・フォンダの奇妙な髪型だった。笑
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