滝和也

忍者武芸帖 百地三太夫の滝和也のレビュー・感想・評価

忍者武芸帖 百地三太夫(1980年製作の映画)
3.5
今やハリウッドで
日本人俳優の代表格
になった真田広之
の初主演映画作品。

真田広之の魅力を
惜しみなく発揮させる
サニー千葉&JACの
忍者大活劇!

「忍者武芸帳 百地三太夫」

ハリウッド、ジャッキー作品での見事な活躍を見て真田広之作品の原点でもあるこちらを鑑賞。ハリウッドを目指したアクション俳優の雄、千葉真一の愛弟子である真田さん。師匠の夢を今や見事に引き継ぎ活躍してます。その下地であるアクションは正にこの作品に詰まってますね(^^)

天正伊賀の乱。百地三太夫率いる伊賀集は豊臣秀吉の配下、甲賀不知火将監(千葉真一)の奸計に合い、全滅。父母を失った幼子鷹丸は配下の者たちに助けられ、隠し金山の秘密を封じた短刀と共に明国へ渡った。時は流れ豊臣の治世、朝鮮侵攻時。大陸から鷹丸は戻り、嘗ての伊賀の残党と共に不知火将監の首を狙うが…。

真田広之の売り出しのため、東映、千葉真一率いるJACがその力を結集させて作製しているだけに、アクション作品として中々面白い。荒唐無稽なストーリーと徹底した生身のアクションが売りですね。

真田広之の魅力を引き立てる為に、全てが組み込まれているのですが、まずは大陸に渡る設定から当時流行りのクンフーアクションを盛り込み、燃えよドラゴンやジャッキーの様なキレを魅せます。

故に鍛え上げられた身体を見せまくる真田広之(笑)更に腐女子必見の拷問シーン(笑)師匠千葉真一に急所を握られると言う…(笑)そして謎の死んだ仲間を追悼するジャズダンス(笑)がいきなり始まる超展開。半裸の真田広之が松明を持ちファイアーダンスまで披露…(笑)これは当時の女子達の心を鷲掴みでしょう(笑)

まぁこれはさて置き、実際のアクションも凄いんですけどね。地上25mの天守閣からの堀へのダイブ、走る馬からの前のめり落馬する馬上アクション。森の中での高所アクションの数々と、JACならではの技を次々に披露してくれます。

更に師匠千葉真一は怨敵不知火将監役、そしてアクション監督として愛弟子をバックアップ。その卓越した演技力(かなり油ギッシュですが…(笑))とアクションで彼を支えます。三位一体の秘術で鷹丸を苦しめますが、これ中々理に叶っていて面白い技です。ラストの殺陣も見事でしたし、これ中々名シーンです。

そして姐弟子である志穂美悦子さんも出演。シーンは少なめですが、まだビジンダーだった頃の可愛さがあり、印象深い(笑)大陸から鷹丸を追ってくる女少林拳使いで、チャイナ服でヌンチャクの使い手と言う…書くと笑えちゃう役。ラストも強烈です…逆さのままですからね。

千葉真一と言ったら盟友夏八木勲さん。戦国自衛隊の相手役(笑)から、今回は服部半蔵役で千葉との対決シーンもあり、さすがの貫禄です。そして脈絡なく突然現れる戸沢白雲斎に丹波哲郎。この方も千葉真一絡みによく現れますが、鷹丸たちを、再度鍛え直す師匠でドS(笑)と言う強キャラで今回は出演。ジャッキー作品の師匠のオマージュなんでしょう(笑)

ここまで書くとかなり良さそうに見えますが作品最大の弱点は音楽。魔界転生みたいにおどろおどろしい感じや時代劇風でなくて、シンセやコンテンポラリージャズみたいな安っぽさ溢れる当世風のもので…真田広之の若さ、今風さを当時のヤングにぶつけるための手法なんでしょうが…この文が死語だらけの様に死んでますね…(T_T) まぁ合ってない…。

真田広之の原点ここにあり!と言う作品なので…ファンの方や最近の活躍を見た方は見ても良いのではないかと思います。如何に千葉真一の軍団がアクションしてたか気づきますし、今や日本にはアクション俳優がいなくなった事に気付かされますよ…。
滝和也

滝和也