チッコーネ

女体渦巻島のチッコーネのレビュー・感想・評価

女体渦巻島(1960年製作の映画)
4.0
タイトルがナンセンスなのはいつものことなので、あまり気にしなくて良い。
せいぜい舞台が離島というだけで、あとは適度にリアルでスリリングな娯楽サスペンス。
監督のこのテの佳作にはモノクロが多いが、本作はカラーでも遜色ない出来栄え。
特にキャバレー場面が華やかに彩られており、ダンスシーンではサイケデリックな雰囲気も演出している。

本作は音楽面でジャズが後退し、歌謡ブルースが前面に出ているものの、決して演歌調には流れず、いま観てもおしゃれなバランス。

役者をカメラにぶつからせ、場面転換を図る編集があらかじめ計算されているほか、三原×吉田による波止場の再会場面はのっけからカメラの動きが流麗。
いちいち書ききれないほど撮影が冴えている。

吉田の台詞回しは相変わらずたどたどしくて、時に何を言っているのかよく聞こえないほどだが、三原の演技はどんどん磨かれており、貫禄たっぷり。
天地茂は、ヘルムート・バーガーのように線の細い悪役。
そのほか石井組/新東宝の大部屋役者たちが、総出演しているのが楽しい。