CANACO

フォレスト・ガンプ/一期一会のCANACOのレビュー・感想・評価

3.3
ウィンストン・グルームによる小説の映画化。原作の売れ行きは、出版時が3万部だったのに対し、映画公開後は1995年までに160万部以上売れたそうです。
トム・ハンクスは、1993年公開の『フィラデルフィア』に続けて、アカデミー主演男優賞を受賞。

公開時、この作品がとても嫌いで、もう観ることはないと思っていたのですが、内容をすっかり忘れてしまったので再鑑賞してみました。

1950〜80年代のアメリカの歴史とともに、IQ75のフォレスト・ガンプの半生を追う物語。フォレストは自閉症スペクトラムの可能性が高く、興味を持つ範囲がとても狭い。幼馴染のジェニーのことは好きだが、ジェニーの気持ちを汲み取ることはできない。

この作品が嫌いだった理由は、発達障害の、都合の良い部分のみ抜き出している印象を持ったから。不器用ゆえに一直線、他者の感情を読み取るのが苦手だから自分の思いに正直、同じ作業をするのが得意なので規律のある環境への適応が早い。実際そうだと思うが、神経質、怒りっぽい、飽きっぽいといったASDによく見られる特性はないため、「フォレストは育てやすかっただろうなあ。でも実際の家族はもっと悩んで苦労するんだよ」と序盤から思ってて、ましてやジェニーなんて当時共感できるポイントがまるでありませんでした。

でも大人になって見直したら、前より内容を噛みしめることができました。フォレストの半生を辿る物語であると同時に、トラウトから脱却できないジェニーと、ベトナム戦争中にフォレストが命を救ったダン中尉の人生も同時に追った物語で、幸せな人生とは何かを多方面から問いかけてきます。

疲れきったときだけフォレストの元に戻ってくるジェニーや、序盤の校長と母親が寝てることを想起させるシーンは、いやいやいや……って感じたのですが。でも、自分の何もかもを理解して愛しているわけではないフォレストを受け止めるのが難しかったのかもしれないし、ゲスな校長を説得させるにはそれしかないという(胸糞だけど)現実の嫌なところをあえて伝えたのかもしれないです。
昔より、もう少し大らかに受け取ることができ、特にダン中尉の葛藤はよく理解できました。

完全に忘れてましたが、ジョエル・ハーレイ・オスメントくんが最後に出てきたのがうれしかった。1999年に公開した『シックスセンス』の5年前。かわゆいです。
CANACO

CANACO