ぽち

リラの門のぽちのレビュー・感想・評価

リラの門(1957年製作の映画)
3.5
ジュジュと芸術家の心の奥底まで見事に描ききった作品で、監督の円熟した手腕を堪能できる。

芸術家の嫉妬にも似たバルビエに向けられる嫌悪感や、ジュジュの幼児性が伺える憧れなど、時代を超えた普遍的な人の気持ちを細やかに描いている。
またあえて犯罪者であるバルビエと女性のマリアを描き込まずにアイコン的に使っているのが、一層2人の関係を浮き彫りにしているのは見事だ。

そのマリアだが、なぜな昭和初期の日本女性のような親しみを覚えた。調べると演じるダニー・カレルの母がベトナム人らしい。東洋の香りがしたのに納得。

ラスト一杯の酒をゆずるシーンが百の言葉より雄弁にジュジュと芸術家の友情を語る。そしてこの後彼らはどうなったのか?マリアとは?と、余韻を味わえるのも素晴らしい。
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