マーくんパパ

リラの門のマーくんパパのレビュー・感想・評価

リラの門(1957年製作の映画)
3.9
観たかったルネ・クレール晩年の佳作。市井の気のいい人たちが暮らすリラの町に闖入して来た殺人逃走犯、気が良すぎる酒飲みジュジュとその友人芸術家が匿うことになるが人のよさを利用されて…。ルネ.クレール監督は『巴里の屋根の下』はじめ市井の人々の暮らしを温かく見つめる佳作が多い。本作も出だしの10分であっという間に心掴まれた。定連居酒屋に金がないのにカウンターで粘ってる酒飲みジュジュ、店主の目を盗みカウンター内のワインボトルに手を伸ばし盗み飲みしようとしてる。その背後にカメラぐるっと回り込むと友人の芸術家がギター抱えてモノ侘しい歌を口ずさんでいる。店主に席立てられ2人肩寄り添って独り身芸術家の家に立ち寄る。ボトルの底に少しある酒を分けて飲む2人、最後の一杯は親友ジュジュに分け与え遠慮がちのジュジュは済まなそうに口に運ぶ、夜更け深まるパリの街角…。この余韻だけでも充分浸れる。