みかんぼうや

リラの門のみかんぼうやのレビュー・感想・評価

リラの門(1957年製作の映画)
3.2
フランスの巨匠ルネ・クレーヌ作品初挑戦。脚本良し、音楽良し、監督の人生哲学たっぷりのエンタメ作品として評価が高いのは分かる。分かりますよ。しかし、この話は解せない。話が難解なのではなく(むしろ分かりやす過ぎるくらい)、なぜそうなるよ・・・という展開の連続で、登場人物に全く感情移入できないし、話にも乗り込めない。映画としての品質は十分なのに、全くノレませんでした。

周りからろくでなしと言われながらもとにかく人のよい主人公ジュジュがとあるきっかけで警官殺しの殺人犯を友人の芸術家宅の地下室でかくまうことになる、という設定も分かりやすい作品。

エンタメなので、こう考えた時点でアウトなのだろうと分かってはいるのですが、どうしてこんな人間的に魅力のない殺人犯を、主人公ジュジュは肩入れし、命懸けで守ろうとするのか?いや、ジュジュだけではなく、話が進むと他の登場人物までこの殺人犯の虜になるし・・・

この殺人犯が実は物凄く人間味があって温かいキャラだったとか、正義のための殺人だった、とかならまだ納得ですが、普通に嫌な奴で、彼の味方になる理由づけが“主人公がコンプレックスが強く、人がよいキャラだから”では、話としては受け入れ難いです。この話の核となる設定の時点で作品との距離が開きっぱなしでした。

映画としてのクオリティは高くとも、やはり登場人物や物語にあまりにも入り込めないと、エンタメとしても楽しめませんね(汗)。
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