dita

リラの門のditaのレビュー・感想・評価

リラの門(1957年製作の映画)
5.0
@シネ・リーブル梅田   

早起きは三百万リラの徳(そのリラと違うのは知ってる)、この映画が好きな人を好きになりたい部門今年一位。犬も猫も大人も子供も物語も音楽も演出も、みんなでわたしをわくわくはらはらさせやがって!と心の中でずっと呟きながら観た。

カウリスマキのお師匠さんみたいな映画だった。友がフォアグラを食べたいと言えば持ってくる、酒をこぼせば自らのグラスを差し出す、悪い人であったとしても困っていれば匿う、みんな自分のことで精いっぱいなはずなのに、暮らしに余裕はなくても心の余裕を忘れない人たちばかりだった。

悪い人が最初に猫をアレしようとした時はこいつめ!ってなったけど、だんだん極悪人には見えなくなってきて、それはやっぱりやさしさに触れたからなのだと思ったし、世話になったお礼としてもらったスカーフをジュジュが自慢げにずーっと首に巻いているのを見て、嬉しかったんだね、良かったねと観ているこっちが嬉しくなった。

「他人に甘い」と「人にやさしく」は違う。助けても裏切られるかもしれない。ハッピーエンドにならないかもしれない。変わる人もいれば変わらない人もいるし、良い人もいれば悪い人もいる。でもやっぱり、「あなたのことを放っておけない」が行動理由のいちばんになれば、この世界はもっと住みやすくなるしもっともっと愛おしくなる。明日首を吊りたくなったらこの映画のわくわくを思い出して、彼らが飲んだくれているバーを探しに出かけよう。

にしても、お利口さんな犬と可愛いがすぎる猫…動物が出てくると話に関係なく可愛いねぇお利口さんやねぇとにこにこしてしまう、もうおばあちゃんの域やなわたしも。
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