りょう

スパイダーマン2のりょうのレビュー・感想・評価

スパイダーマン2(2004年製作の映画)
3.6
 サム・ライミ版の2作目は、1作目で導入部分を終了し、本筋の物語に時間を配分できるので、ハリウッド映画のセオリーがストレートに反映されています。主人公が活躍する序盤→スランプや葛藤→再起のきっかけとなる出来事→終盤のカタルシスというのが大まかな展開ですが、物語の抑揚が感情を伴うことに成功すれば、大抵の作品はヒットするはずです。
 この作品は、そのセオリーがスパイダーマンのキャラクターと未熟なピーター・パーカーの成長物語にマッチしているので、かなり明瞭な脚本になっていますが、逆に物語の独創性が感じられません。
 映像的には、1作目から2年を経過し、かなり改善されている印象です。VFXのクオリティが向上しているのか、粗々なイメージがほとんどありません。Dr.オクトパスのビジュアルは、1作目のグリーン・ゴブリンと比較しても、かなりスタイリッシュかつハードボイルドで純粋にカッコいいです。とりわけ、金属アームを駆使した格闘シーンは、銃器などを使用しないスパイダーマンのスタイルとも親和性が高く、アクションコーディネーターの創造性もありますが、かなり見応えがあります。最初の手術室で医師たちがやられるシーンは、完全に監督のホラーテイストかもしれません。
 2014年の「セッション」で大ブレイクしたJ・K・シモンズは、このシリーズの1作目から新聞社の編集長役がハマっています。当時はほとんど意識していませんでしたが、主要な登場人物の一人としていいアクセントになっています。
 3作目にはヴェノム、サンドマン、ハリー版のグリーン・ゴブリンが登場することは憶えていますが、相変わらず物語の展開を忘れてしまっているので、ほどよく新鮮な気持ちで観られると思います。
りょう

りょう