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スパイダーマン2のbackpackerのレビュー・感想・評価

スパイダーマン2(2004年製作の映画)
4.0
サム・ライミ版スパイダーマン(以下、無印)第二弾。
シニスター・シックス設立者にして、コミックスでも人気の高いスーパーヴィラン"ドクター・オクトパス(ドックオク)"の登場。ピーター・パーカー=スパイダーマンの抱える、大き過ぎる責任に対する苦悩、葛藤、挫折、そして復活。ハリー・オズボーンが知った復讐対象スパイダーマン=親友という驚愕の真実。
スパイダーマン最大のメッセージ「大いなる力には、大いなる責任が伴う」に真正面から向き合い、スーパーヒーローの精神的成長を喜怒哀楽の全てを詰め込み描き切った、素晴らしくすてきな続編です。


「子どもの頃によく見たアメコミ映画と言えば?」と問われれば、私の場合はやはり無印三部作。特に、本作は何度も何度も見たものです。当時好きだった理由は明白で、ドックオクというヴィランが好きだったからです。LEGOスパイダーマンのドックオクミニフィグで、よく遊んだなぁ……なんて記憶も蘇ってきました。
近年は、"幼少期に好きだった映画いつのまにか見なくなりがち"現象の一つとして、10年以上見ておりませんでしたが、改めて見ると、その人間ドラマの深さに驚きを隠せません。

ただの大学生とスパイダーマンという二面性により、常人では計り知れないままならぬ人生を送るピーター・パーカー。
決して他者に漏らせぬ大いなる秘密がもたらす苦難は、ピーターの気力・体力・精神力を削るのみならず、親友との関係性の変質、想い人に恋心を明かせぬ枷、メイおばさん及び自身の経済的苦境(困窮)の原因となり、人生の悉くを追い詰めてきます。
その艱難辛苦の連続が故に"ヒーローを辞める"という決断に至るまでの過程を丁寧に描き、これ以上ないほどのヒーローの物語となっているんですから、いやはやよくできた作品です。

前作から続く「ベンおじさんの死に対する後悔」は、メイおばさんへの告解と赦しのエピソードによりひとまず決着(次作にて新事実が明らかになるわけですが)。幼馴染のMJとの恋路も、『卒業』の如きチャペルからの逃走(後始末大変だろうなぁ)で一区切り。残すは、親友ハリー・オズボーンとの復讐劇……。このクリフハンガー的終わり方、続きが見たくなる良い引き際です。

無印三部作=スパイダーマン基礎講座として、その後のスパイダーマン映画作品各種を見る上では欠かせないことは確かですので、未見の方は是非ご鑑賞ください!
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