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ゴジラのKUBOZのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ(1954年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

恩師の山根博士にも、ましてや新聞記者などには絶対に明かさなかった研究の恐ろしい成果、水中酸素破壊剤オキシジェンデストロイヤーの威力を、芹沢博士は恵美子に見せる。「見せてあげましょうか、絶対に秘密ですよ。」と元婚約者の恵美子にだけは見せる。戦争で片目を失った芹沢は、恩師の娘である恵美子からは、恐らく自分から身を引いている。決して嫌いではなく、むしろ心の底から好意を持っている恵美子に対して(2人だけの秘密ですよと)絶対の秘密を明かした芹沢。恵美子は、こともあろうにその2人だけの秘密を(恋人の)尾形に明かし、その尾形と共に、芹沢の研究室まで押しかけ、明朗快活な尾形は、ゴジラを倒すためにオキシジェンデストロイヤーを使うべきだと正論で訴える。芹沢にはわかっている。一度使えば、世界の為政者たちが黙っているはずがない。秘密にすればいいなどとは何もわかっていない人間が言う言葉である。観客を真正面から見つめ、人間というものは弱いものだと語る芹沢。秘密など個人が守り通せるものではないという言葉から察すれば、失った片目は戦争中の拷問によるものかもしれない。掴み合いになり、負傷した尾形に、かいがいしく手当てをする恵美子。それを見せつけられる芹沢。オキシジェンデストロイヤーを使うと決めた芹沢は自分の死を覚悟し、大切な研究書類を燃やしていく。幸せに暮らせよと言ってゴジラと共に死んでいく芹沢。なんてかわいそうなのか。なんて無神経な恵美子。秘密をバラすなら尾形じゃなく、父親の山根博士に言えばいいじゃないか! シン・ゴジラは素晴らしい作品ですが、ゴジラにあってシン・ゴジラにないものは、この芹沢博士の愛と苦悩の物語だと思います。
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