反核・反水爆というメッセージを込め、当時の技術の粋を結集した日本の誇る名作。
戦後9年、モノクロであるにも関わらず、モノクロであるからこその迫力。誰もが一度は聞いたことのあるものものしい音楽。現代ほど技術がないからこそ工夫に工夫を凝らして作られた映像やプロット。シンプルな造形ながらも巨大で恐ろしく、熱線を吐くゴジラの造形。そのどれもが素晴らしかった。
特に強く印象に残ったシーンが二つあり、東京を襲うゴジラに対し、子供を抱えた母親が「もうすぐお父ちゃまのところへ行けるのよ」と涙ながらに語るシーン。
そしてもう一つはやはり、オキシジェンデストロイヤーの秘密とともにゴジラと自決することを選んだ芹沢博士の名場面である。
彼らに加え、逃げ惑う人々やゴジラに対抗する人々、祈りを捧げる人々等、現代を生きる私には想像することしかできないが、戦後の冷戦軍拡競争の当時を生きる人々の覚悟や生き様、責任感といったものを感じることができた。
