NANAc

ゴジラのNANAcのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ(1954年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

期待してなかったが、すごく良かった。やっぱり食わず嫌いは良くないな。

何が良かったって、米ハリウッドでありがちな勧善懲悪!でなかったのが良かった。
ゴジラを人間の水爆実験の(ある意味)被害者という立ち位置にさせて、ゴジラ側にも思いを寄せる余地を持たせてたのが良い。後ろの民衆たちがゴジラ抹殺を応援してても、一番アップになるのは、ゴジラ抹殺反対派で呆然と悲しい表情の志村喬だったり。
やたら民衆がパニックになるわけでもなく、逆にシーンと静まり返ってゴジラの殺戮を見守ってるのも好きだった。やたらめったらパニクって、人間が理性の外れた行動を繰り返す映画は好きじゃないんだ。

ヒロイン含め、みんな理性的で話の通じる人間なのも良かった。こういう映画は、は??って感じのヒロインとか登場人物が多いからな。全員真っ当な良い奴で、ただ信念と正義がぶつかって苦悩してるだけだから見てて助かった。ほんと、こういう作品を増やしてくれ。

ゴジラは可愛かったし、芹沢はイケメンだった。研究室のシーンあたりからはもう芹沢さん無双じゃん。格好良いの全部持ってった。
最後はもう全部悲しい。悲しくて完璧だった。
変に緊縛感ある音楽とかいらないんだよ。こういう穏やかなクラシックが良い。怪獣を倒すのに切なさを演出してくれるの、有難う。

第五福竜丸事件がちょうどあった頃というのも含め、この時代にこの映画、というのもまた考えるものがある。
ただの特撮じゃなくて、人間の業を考えさせてくれる映画という点で、期待を超えてた。
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