つかれぐま

ゴジラのつかれぐまのレビュー・感想・評価

ゴジラ(1954年製作の映画)
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ゴジラのモノクロ版がなぜか連続配信されているが、こちらは元祖。重厚な映像が、暗いテーマとあいまって計算外の神話性をまとう。

考察界で有名なゴジラ英霊論
ー今回それを意識して視聴したが、なるほどもっともな解釈だと思った。ゴジラの目的が東京の破壊ではなく、望郷の念と遺した家族へのつのる思いで、辛抱たまらずに来てしまった。そこで目にしたのは「かつての敵国」アメリカによってもたらされた繁栄。そんな風にも見えてゴジラが少し、いやかなり可哀そうになった。

海底に還ったゴジラは、おそらくもう日本には上陸しなかっただろう。それを抹殺兵器で葬ってしまうのだから、人間というのはなんと身勝手な連中かと。ラストの敬礼は果たして誰に対してのものか?

芹沢博士の愛。
ヒロインと、人類と、科学へのそれが、全て報われないのが哀しい。正直『オッペンハイマー』よりも響いたかも。「ゴジラは反核映画」という評価を、これまでは単純にアメリカの水爆実験への批判と理解していたが、後半のオキシジェンデストロイヤーこそが、もっと広義な化学兵器全般がもたらす恐怖という、人類への警告だった。