Wakana

ゴジラのWakanaのレビュー・感想・評価

ゴジラ(1954年製作の映画)
3.4
人種差別を背景にしているアメリカのキング・コング、こちらの場合は原爆の暗い過去。
原爆によって棲みかを奪われたために現れたゴジラは、きっと私たちと同じ悲しみを共有しているはずだ、という視点が気になる。内田樹と柴田元幸は、日本人には「あなたにも私と同じことが起きるかもしれません」のような、代替可能性という語り口があると言っていた(『嘘みたいな本当の話』)。ゴジラでさえ「第二、第三のゴジラが」などと言って個体の代替可能性について示唆している(キング・コングはエンパイア・ステート・ビルで射殺して終わり)。ようやく読了した『海と毒薬』でも日本人の罪意識と集団との関係が語られていた。よくも悪くも日本では〈わたしもあなたも同じ(であってほしい)〉という感覚に取り憑かれている。
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