まちゃん

ゴジラのまちゃんのレビュー・感想・評価

ゴジラ(1954年製作の映画)
4.5
映画は時代を反映すると言われるがこの作品はその典型だろう。まだ戦争の記憶が生々しい時代に作られた映画だけあって破壊のリアリティは凄いものがある。炎に包まれた街、消防車のサイレンの音、焼き出されて絶望感に打ちひしがれる人々の表情など実際の空襲下の街のドキュメンタリーを見ているようだった。破壊を見事に表現した円谷英二の特撮も素晴らしく、現在の目で観ても説得力がある。ミニチュアを使った特撮技法はこの時代で既に一つの完成に達していたのだろう。CGとは違った魅力を感じた。暗闇で燃え上がる街を背景に暴れ回るゴジラの恐怖感は二度と再現出来ないのではないか。また忘れがちだがシナリオが緊密で素晴らしい。謎の巨大生物の存在を匂わせるファーストシーンから始まりテンポ良く進むストーリーは飽きさせる暇がない。あくまでゴジラを焦点に組み立てている為に人間ドラマとのバランスも良く無駄なシーンが無かった。核実験が繰り返された時代背景もあり、反核のメッセージも重みを感じさせて心に残った。怪獣映画の原点にして頂点の傑作。
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