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ある殺し屋のbluetokyoのレビュー・感想・評価

ある殺し屋(1967年製作の映画)
3.0
塩沢がふらりとある駅の改札から現れる。さらに、ふらふらと埋立地あたりを歩き、掘立小屋を見る。またさらに歩き、墓地の裏手にある木造アパートに目を止めて、そこに入る。部屋に入り管理人らしきばあさんにいろいろ聞いてから、契約する。
雨が降っている。その中を若い女、圭子が走りながら墓地を抜け、木造アパートへ。

冒頭のシーン、映画全体の最初ではない。凝った時間の流れの表現になっている。

次が圭子と塩沢の出会いとなる。
ラーメン屋で無銭飲食で捕まった圭子を塩沢が助けるところから。圭子は塩沢の持つ小料理屋、菊の家に居ついてしまうのだ。

次が若いやくざ者、木村組の前田との出会い。大和田組の組長を暗殺して欲しいという依頼。塩沢は見事に暗殺を成功させた。前田は塩沢の腕前に惚れこみ弟子入りを志願したのだ。

前田が行くレストランにどっかで見たことがある客がよく来る。誰かと思ったら、塩沢の店、菊の家にいた女、圭子だった。話し掛けてみるとやっぱりそうだった。話しているうちに意気投合。塩沢を唆せて、でかい仕事をやり、最後に塩沢を始末して、報酬は二人で山分け、そう話がまとまった。
前田が再び塩沢に仕事を持ち掛ける。大和田組の麻薬取引のとき、麻薬の引き渡しの場を襲い、麻薬を強奪する計画。

で、冒頭のシーンに繋がるのだ。

一番最初に出てきた掘立小屋が引き渡し場所らしい。そこで、前田と圭子が抱き合っている。大和田組組員がやってきて、鼻の下を伸ばして小屋に入ってきたところを塩沢が殴り倒して気絶させた。さらに、麻薬を積んだモーターボートがやって来ると、モーターボートの大和田組組員も塩沢が殴り倒して気絶させ、鮮やかに麻薬を奪った。

部屋に戻って、麻薬を分けているとき、やおら、前田が拳銃を抜いて、塩沢に向けた。この拳銃は、護身用として、塩沢が前田に渡したものだった。死んでもらうぜ、と言いつつ引き金を引くが弾が出ない。そんなことだろうと思って塩沢があらかじめ弾を抜いておいたのだ。

それでも、麻薬を三等分した。と、そのとき、外に人の気配。見てみると、やくざが大勢やってきていた。三人は外へ脱出するも、取り囲まれてしまう。木村組+木村組組長である。塩沢は一人で全員を倒し、最後に木村組の組長を殺す(木村組組長は、前田を泳がせておき、最終的には麻薬を奪うつもりだったらしい)。
前田と圭子は、戦っているときに麻薬はなくしてしまったが、塩沢は、自分の麻薬を置いて、立ち去った。終わりである。

結局、前田も圭子もほとんどなにもやっていない。圭子にいたっては、三人前の折詰の握り寿司を買っただけである。これでは、いてもいなくても同じことである。

塩沢が戦ったときの武器は、相手のやくざのズボンのベルトである。なんとかならなかったのだろうか。勝新太郎さんだったら、即興でいろいろなアイデアを出し、格好いいアイテムを見つけたことだろう。
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