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花の特攻隊 あゝ戦友よのmhのレビュー・感想・評価

花の特攻隊 あゝ戦友よ(1970年製作の映画)
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学徒出陣した大学生の青春を、予科練、特攻兵器桜花というトピックで彩った戦争もの。
訓練期間がメインとなるこの手の映画はけっこうあるんだけど、そんななかでもなかなかの出来。
・大学名からはじまる自己紹介。
・お気に入りの本が没収されないよう、みんなで隠しておくくだり。
・岩波文庫、インメルマン旋回などのワードが聞かれるセリフ。
・ダビットを使ったカッターボートの上げ下ろし。
・一式陸攻からの切り離される桜花のミニチュア特撮がよかった。
などなど、みどころ多い。
いじめ、体罰を伴った指導の描写が少ないんだけど、厳しい訓練を苦にして女郎さんと心中するくだりなんかもやってくれた。
普通の特攻に失敗。いったん特攻で出撃した以上、生き恥はさらせないというロジックで桜花に乗ることになる。
桜花の分隊長が豪放磊落なキャラで良かった。
重巡洋艦インディアナポリスに桜花で突っ込むのがクライマックスなんだけど、ここではてなマークが浮かぶ。
1945年7月30日にインディアナポリスは、伊号第五十八潜水艦から発射された回天によって撃沈される。これは「パシフィック・ウォー(2016)」でやってたとおり。邦画では「人間魚雷出撃す(1956)」のあれ。
となると、映画の締めくくりにある「この二日後、戦争は終わった」とのナレーションが成り立たない。
でも、インディアナポリスに突っ込んで終わり。
マルチバースもの?
特攻を過度に美化してるのも気になるポイント。このころの映画人はどうかというと左寄りと相場は決まっているんだけどね。ここまで右に傾いているのは逆に珍しい気がした。川内康範の原作がそうなっているってことなのかね。
面白かった。
mh

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