真鍋新一

花の特攻隊 あゝ戦友よの真鍋新一のレビュー・感想・評価

花の特攻隊 あゝ戦友よ(1970年製作の映画)
2.5
企画した側にしてみればひとつ戦争の悲劇で観客を泣かせてチョーダイよ、という調子なんだろうが、敗戦がほぼ確定していて、かつ主人公も死ぬことが避けられない状況からいきなり話が始まってしまう台本で、どうやって良い作品を撮れば良いのか。そんな悪あがきにも近いものを感じた。

やっと顔がまともに映るようになったと思ったら即退場してしまう浜田光夫(杉良とダブル主演扱いなのに)を始め、梶芽衣子も加藤嘉も丹波哲郎も、出てきたと思ったらすぐ出てこなくなるスターたちの使い方も当時の日活末期な感じがある。

杉良太郎はとことん真面目なので、純粋に日本の未来を信じ、自ら起こした事故の失敗を恥じ、結局動機はなんでも良かったんだろうが、よく考えたらラッキーで生き残るチャンスはあったはずなのに、異常な社会の雰囲気のせいでめったやたらと死にたがるヤバい奴になってしまう。クールな藤竜也の立ち位置も良かったが、彼とて特攻隊員。あきらめて死ぬか、あきらめないで死ぬかの二択しか残されていない。

そんななかで唯一まともだったのは和泉雅子で、いちばん良い場面はやっぱり彼女が世の不条理に耐えかねる一連の場面だったりする。あとは沖雅也と三ツ木清隆のさわやかなイケメンぶりと、玉川良一が良い人でよかった。
真鍋新一

真鍋新一