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カリスマのandesのレビュー・感想・評価

カリスマ(1999年製作の映画)
3.9
難解な印象は強い。ストーリーだけ取り出せば意味不明だし、台詞も不可解なものが多い。ただ、求心力のあるカットと役者の不気味さで引っ張る。あと変なユーモアも健在だ。
冒涜、比較的わかりやすく提示される「命の選択」が重要なテーマだと考えられるが、「世界の法則」「軍隊」などのワードや、カリスマ1炎上後の「きのこ雲」など、人類の歴史や世界情勢まで深読みもできる(明確ではないし、する必要もないが)。
静的な映画でありつつ、カリスマを巡る攻防は、かなりアクション映画である。刀や拳銃、ライフルが極自然に出てくるし、ハンマーで殴るなど、暴力的でさえある。秩序や倫理みたいなものは世界の真理ではない。風、光、炎などの自然現象や自動車の使い方も映像的で面白い。
さて、「よく分からん」映画なのは確かだが、それは「つまらない」ことではない。常に奥行きのある画作りは美しく、あっけらかんとした怖さも感じる。ソ連っぽい終末感というか、タルコフスキーの『ストーカー』を思い出したり。まぁ、ボンベ爆発はスピルバーグだけど。
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