1999年につくられた黒沢清監督作品。『カリスマ』なる1本の横暴な木をめぐって対立する人々のおバカぶりをあまりに真面目に描いた実験映画。
当時映画館で見たときはわけわかりませんでしたが、今回みてもやっぱりわけわかりませんでした。というか黒沢監督は映画関係者に好きなように語らせて本編をケムに巻くやりかたがうますぎる。『スパイの妻』という傑作はその最たるものですが、この『カリスマ』も今みると何気にヤバい。
だいたいあのひょろっとした『カリスマ』が全然カリスマじゃないんですよ。そこでふと気づきました。ひょろっとして全然カリスマ性のない連中(髪切るの上手い人)が1990年代にもてはやされたではありませんか。これあの人たちのこと、っていうかあの人たちをアガメムノンしちゃう人たちを笑ってるんでは?
まぁもちろん「カリスマ」なんて真剣にアガメムノンしてる人なんているわけない(マスコミのお遊び)んですが、そういうのいろいろひっくるめて笑っているとしか思えん。さらにはこの映画を「難解だ」とか言っちゃったらよけい監督のワナにハマっちゃうような。黒沢監督ったらひどく真面目な顔してるけどきっとずっとふざけてる人だと思うわ。