ダイナ

カリスマのダイナのレビュー・感想・評価

カリスマ(1999年製作の映画)
4.0
和ホラー欲を満たせそうかと思い観てみたけどなんだこれは….なんなんだこれは!?と困惑せざるをえない黒沢清・役所広司タッグの問題作。カリスマと呼ばれる大木(本作で異様な存在感を放つでかい木)に翻弄される人間達の結末やいかに。

この2人だと傑作「CURE(1997)」の印象が強く、その2年後に公開されたのが本作ということで、導入の淡々と描かれる死のシーンはCUREの雰囲気を彷彿とさせていて、これこれこの感じ!とワクワクさせてもらいました。が、話が進んでいくとサスペンスホラー色に「なにこれ?」というアートでシュールでコメディな要素が合わさってクエスチョンで頭が埋まっていく感覚が興味深く楽しく、辛い(笑)。映像のシュールでノワールの雰囲気はポン・ジュノ作品のよう、淡白な台詞回しに過激な描写、美的な絵作りに落ち着きつつ多種多様な角度で映されるカメラワークは見惚れます。様々な陣営がカリスマを軸として対立し合うストーリー展開には「そういう理由であんた動いてるのね!(納得)」「分かんないけどこういう理由で動いてるの?(推測)」「なにやってんの?(困惑)」という思考がそれぞれバランスよく(?)脳内で渦巻くこの感覚は唯一無二。本作は黒沢清流トロッコ問題みたいなものなのか…?

終始難解ながら「なんとなく」はついていけるものの終盤あたりから難解さに加速がかかり、フィルムの終盤無造作にちぎり捨てました?と思わんばかりの描写の割愛具合は観客を試してきているとしか思えないです。結局恐怖みたいなものはほとんど感じなく、ホラー欲は満たされなかったものの個人的には見返したいし苦な時間ではなく面白かったので満足!スタッフロールの入り方ほんま好き。
ダイナ

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