むんむ

カリスマのむんむのレビュー・感想・評価

カリスマ(1999年製作の映画)
4.3
何故黒沢清が好きなのか?
考えてみた。

元々幼少期からホラーは好きであるが、私が彼の映画で惹かれる要素はそこじゃない。

多分、というかかなり影響を受けているであろう60~70年代のアヴァンギャルド風味。
これだ。
それこそドレミファ娘なんかはモロにゴダールを感じるし、清映画を観てると時々笑い所なのか何かわからない場面がよくある。
コメディチックな音楽を流してみたり、シュールな台詞を言わせてみたり、無駄なのか意味があるのか分からない謎演出を入れてみたり。
白いモヤモヤした煙が何故だか辺り立ち込める、とかカーテンが風に煽られまくってる、とか。

リアルかどうかなんて事や物語の整合性等は完全に無視していても映画として面白い、勢いのある作品が好きだからかもしれない。
だって娯楽なのだから面白ければ正義。

思わず見入ってしまう画作り、それは構図だったりカメラワークだったり、ロングショットだったり。

とりわけ横にスライドするのが好きだ。

画面左から右へ向かって歩く人物Aをカメラで捉えながら、途中で画面に映るB。Bは車の前に立っていて何か喋る。Aを追いながらBの台詞が入る。
するとAの進行方向からCが現れて、今度はCを捉えて追いかける。
その時聴こえるのはBの台詞。

こういう技法?をなんて言うのかは分からない。
分からないけど凄く好きだ。

あと何処か戯曲のような雰囲気も感じる。舞台を見ているような感覚、それは台詞だったり美術面だったり、やはりカメラワークだったり。

ATG映画のような勢いと前衛的な部分を醸し出しつつ、そこに彼自身感性が加わる事で唯一無二の魅力、それが黒沢清。
むんむ

むんむ